ウラナミックス
ウラナミックスの特長
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使用方法
ウラナミックス P-8 の使用方法は配管技術 '88-6-P111~P134 及び技術資料「ステンレス鋼裏波溶接用フラックス ウラナミックス P-8 」 (昭和62年6月)に詳細が記述されておりますが、まずこれをお読みいただき、その上で次の事柄を注意していただければ、効果的に裏波溶接ができます。 入数 250g入 約25m塗布できます。 |
「配管技術 88-6/P111~P134」 |
技術資料 |
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https://www.tsuruya-works.co.jp/seihin/urana.html#sigProIde69c3e7aa4
使用方法
特許の関係からその組成を詳しくご説明できませんが、ステンレス鋼用被覆アーク溶接棒のフラックスの成分とほとんど同じ種類の鉱石が使用されております。
したがって、熔融しますとほぼ同じ成分のスラグとなります。これはガラス物質ですので水や鉱酸にはほとんどとけません。
主成分はTiO2 60%以上で、残りは炭酸鉱物その他からできております。人体への害は、ほとんどありません。
ウラナミックス P-8 取扱上の注意点
ウラナミックス P-8 は前述の成分の鉱物粉末を水ガラスでペースト状に練り混ぜてありますので、ご使用の際は付属品の竹へらで充分に(約5分) 練ってください。
ウラナミックスの表面が少し固まっておりますが、よく練りますと全体がやわらかいペースト状になります。また途中で使用を中断するときは、その都度中栓をはめ込み蓋をしっかりと締めてください。大気にふれたまま放置いたしますと乾燥して岩のように硬くなって使用できなくなります。
ウラナミックス P-8 の粘度は付属品の塗布用刷毛で母材のステンレス鋼の金属肌が隠れる程度塗布しますと、裏波を出すのに必要な量が塗布できますように調整してあります。数回の使用でウラナミックス P-8 が固めになったときは水を加えてもよいのですが、数滴にとめておくことが好ましく、それを超えて多量に水を加え過ぎると、ウラナミックス P-8 が緩く なり母材に必要量塗布されないばかりか、特に母材が上向きや立向きなどの場合は垂れてしまいますので注意してください。
ウラナミックス P-8 の塗布方法
配管技術やIHI技術資料にもその詳細が記述されておりますが、普通小管の場合、あらかじめ突合せる両方のパイプの開先部の 裏側のエッジから幅約5mm ウラナミックス P-8 を塗布した後、開先側から仮止め溶接を行います。
また大径管や板継ぎの場合は、仮止めをした後、開先部裏側のそれぞれエッジから5mm幅、合計10mm幅ウラナミックス P-8 を塗布します。
この場合裏側が酸化している仮止め部の上にもウラナミックス P-8 を塗布しておきますと、本溶接に際して酸化している仮止め部もきれいな裏波をつくり、 その他の裏波と同じように RT Check の結果、無欠陥となります。
ウラナミックスの P-8 塗布面は塗布後15分位で乾燥して溶接可能となりますし、塗布面が損なわれる事がなければ、1ヶ月以上経過しても効力は失われません。
溶接方法( TIG )
開先形状は60deg. ルートフェイスは0.5~1.5mm、ルートギャップは1.0~2.5mm程度が標準です。溶接に際して、アルゴンガスでバックシールドした時のようにキーホールを作る必要は全くありません。また溶加棒を溶接中、そのキーホールの中に突っ込む事もしないでください。
裏波なしの普通のルートパス溶接のように溶加棒を低角度に保持して、板厚4~10mm t の場合は棒径は2.0mmФを使用して120~140Amp. 10~12Volt、溶接速度は150~200mm/min.で溶接するようお薦めします。
溶接時の入熱量は、A×V×秒/cmで表し、それぞれの中央値をとってみますと130A×11V×60秒/17.5cm=130A×11V×3.43秒/cm=4,905Joule/cmとなります。
溶接中アークを詰めて、両エッジを均一に溶かしながら、少し強めの電流でできるだけ速く進むときれいな裏波が得られます。
したがって入熱量はできるだけ低く5,000Joule/cm 以下をお薦めいたします。
均一な速度で速く進むとフラックスの消耗も少なくその作用で酸化しないきれいな裏波が得られるのです。
板厚が6mm以上の場合はU開先のようにエッジの肉厚が薄くなると速く進みやすくなり裏波がでやすくなります。
このように低入熱量で小さめなきれいな裏波が得られた場合スラグはきれいに自然剥離します。
板厚が3mm以下の場合はスラグが焼けついて剥離しない場合がありますが、溶接部は健全ですのでサンダーで余盛を除去しますと、きれいに仕上がります。
ただし、スラグは完全に除去できない場合がありますので医薬品、食品用の配管での使用は注意が必要です。
ウラナミックス P-8 での溶接結果及び利点
アルゴンガスバックシールド時と同質の溶接継手が得られます。その他手軽に使用できることや工期が短縮されること及びコストが低く抑えられることなど多く利点があります。しかしながら、管理職の方々にご説明いたしますと、ほとんどの場合直ちに興味を示していただけますが、Welderにこれをご提示いたしますと 「アルゴンバックシールド時のような金属光沢のある理想的な裏波が得られない」という理由で、最初は極めて消極的な反応を示されます。
このような障壁はやがて溶接方法をマスターするにつれて除々に協力度が高まり、最後にはこの手間のかからない、工期が著しく短縮されることなどにより、その利点を享受してくださるようになります。この要領書により、速やかにウラナミックス P-8 をマスターされますことを切望いたします。
ポイントはやや高めの溶接電流と速い溶接速度で均一に実行することにあります。
もしアルゴンバックシールド法のように低い溶接電流で遅く溶接しますと、ウラナミックスの量が不足して裏波が全て酸化される結果となります。
ウラナミックスの塗布量には限度がありますので、速めの溶接速度が欠かせません。
慣れたWelderはトーチカップを開先部に軽くタッチさせながら速やかに、しかも均一に溶接を進めていきますが、こうした技術をぜひマスターしてください。
試験板裏波溶接条件例
1. SUS304 6T 板 突合せTIG溶接条件(一層裏波溶接)
溶接電流 (A) | 溶接電圧 (V) | 溶接速度 (cm/秒) | 入熱量 (Joule/cm) |
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100 | 14 | 30/112 | 5222 |
2. SUS304 2T 板 突合せTIG溶接条件(一層裏波溶接)
溶接電流 (A) | 溶接電圧 (V) | 溶接速度 (cm/秒) | 入熱量 (Joule/cm) |
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50 | 12 | 30/95 | 1900 |