HT-360
規格 : JIS Z3251 DF2B-B
HT-360は、機械加工ができる最高の硬さになるように作られたもので、靱性にも優れていますので中程度の金属間摩耗部の再生に適します。
また、機械加工成形後、焼入れもできます。
◎溶接上の注意点
1. 100℃前後の予熱をしますと、溶着金属が急冷されて必要以上に硬化するのを防ぐことができます。
2. ビードのスタート部にピットを生じることがありますから、あともどり法を用いてこれを防いでください。
3. 使用前に棒を 300~350℃で約 1時間再乾燥してください。
化学成分 [%]
C | 0.30-1.00 |
---|---|
Si | 1.5以下 |
Mn | 3.0以下 |
P | 0.03以下 |
S | 0.03以下 |
Cr | 5.0以下 |
Mo | 1.5以下 |
Fe | Rem. |
Others | 1.0以下 |
硬度
As Welded | 360-420 Hv |
---|---|
Oil Quenched from 900℃ | 450-550 Hv |
Annealed at 650℃ | 250-300 Hv |
Slow Cooled From 900℃ | 200-250 Hv |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 350mmL | AC, DC(+) | 80-130 amp. |
---|---|---|
4.0mm x 400mmL | AC, DC(+) | 110-180 amp. |
5.0mm x 400mmL | AC, DC(+) | 190-240 amp. |
6.0mm x 400mmL | AC, DC(+) | 220-300 amp. |
用途
シャフト、ローラー、レール、車輪、クレーンホイル、そのほか鋳鋼の一般盛金補修。
SMC-16
規格 : JIS Z3251 DFME-200-B
SMC-16は、16%Cr-16%Mn-2%Ni のオーステナイト溶着金属が得られるライム系溶接棒で、極めて靱性にとみ加工硬化しやすく摩耗抵抗が大きいのが特徴です。
主に、レールクロッシングなど高 Mn 鋼の溶接に適しています。
◎溶接上の注意
1. 長く高温に維持すると、靱性が著しく低下してワレの原因になります。
できるだけ低電流を使用し層間温度も低くして溶着金属が急冷されるよう配慮してください。
2. 溶接にあたって棒を 150~200℃で約 1時間再乾燥してください。
化学成分 [%]
C | 1.10以下 |
---|---|
Si | 0.8以下 |
Mn | 12.0-18.0 |
P | 0.03以下 |
S | 0.02以下 |
Ni | 6.0以下 |
Cr | 14.0-18.0 |
Mo | 4.0以下 |
Fe | Rem. |
Others | 4.0以下 |
機械的性質 (As welded)
耐力 | - |
---|---|
引張強さ | 780-880 N/mm2 |
伸び | 35-45 % |
Charpy (V-Notch at 0℃) | 80-150 N・m |
As Deposited Hardness | 200-300 Hv |
Work Hardens to | 350-450 Hv |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 350mmL | AC, DC(+) | 70-120 amp. |
---|---|---|
4.0mm x 350mmL | AC, DC(+) | 95-145 amp. |
5.0mm x 350mmL | AC, DC(+) | 135-180 amp. |
用途
13%Mn 鋼、交叉軌条の溶接。
TB-100
規格 : JIS Z3252 ECNi-Cl
ニッケルの溶着金属は、クローム・ニッケル・オーステナイト鋼に見られるような母材からの炭素の移動を完全におさえるばかりでなく、溶接に際して混入した少量の炭素も大部分を黒鉛化する作用がありますので、溶着金属は硬化することがなく、予熱なしでもワレにくいという性質があります。
TB-100はこの点を更に強化するように心線や被覆剤を調質したものです。
心線には Ni 99.0%以上のものを使用し、特に電流、アーク電圧を低くし、溶込みを少なくした低温系ですので全く予熱をしないか、 もしくは、作業条件により少しの予熱をするだけで完全な溶接部が得られ、機械加工も容易にできます。
化学成分 [%]
C | 2.0以下 |
---|---|
Si | 4.0以下 |
Mn | 2.5以下 |
S | 0.03以下 |
Ni | 85以上 |
Fe | 8.0以下 |
Cu | 2.5以下 |
機械的性質 (As welded)
引張強さ | 290 N/mm2以上 |
---|---|
Hv (20) | 140-180 Hv |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
2.6mm x 300mmL | AC, DC(+) | 60-80 amp. |
---|---|---|
3.2mm x 350mmL | AC, DC(+) | 80-130 amp. |
4.0mm x 400mmL | AC, DC(+) | 100-140 amp. |
6.0mm x 400mmL | AC, DC(+) | 120-180 amp. |
用途
各種鋳鉄製品の補修、巣埋め、ミハナイト鋳鉄、可鍛鋳鉄などの補修溶接。
TB-300
規格 : JIS Z3252 ECNiFe-1
TB-300は、55%Ni-45%Fe 系の心線を使用した低温系鋳鉄用溶接棒です。
ニッケル心線と同じように熱影響部の硬化は極めて少なく機械的性質もすぐれているほか、特にこの種の合金は熱膨張係数が小さいため、耐ワレ性にも非常に優れているのが特徴です。
このため、各種鋳鉄の接合、補修、巣埋めに安心して使用できますが、とりわけダクタイル鋳鉄の溶接に適しています。
溶着金属の機械加工性も良好です。
化学成分 [%]
C | 2.0以下 |
---|---|
Si | 4.0以下 |
Mn | 2.5以下 |
P | 0.03以下 |
S | 0.03以下 |
Ni | 45.0-75.0 |
Fe | Rem. |
Cu | 4.0以下 |
機械的性質 (As welded)
引張強さ | 390-490 N/mm2 |
---|---|
Hv (20) | 160-200 Hv |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 350mmL | AC, DC(+) | 80-130 amp. |
---|---|---|
4.0mm x 400mmL | AC, DC(+) | 100-140 amp. |
6.0mm x 400mmL | AC, DC(+) | 130-190 amp. |
用途
各種鋳鉄製品の補修、巣埋め、接合、特にダクタイル鋳鉄の溶接。
INT-112AC
規格 : AWS A5.11 ENiCrMo-3 UNS No.W86112
INT-112ACはインコネル 625、インコネル 600、 601、及びインコロイ 800、 801における同種金属間溶接のほか、インコネルに対してインコロイ、ステンレス鋼、炭素鋼、 低合金鋼などを溶接する異種金属間溶接、インコネル 625、706、 718や X-750に対して 9%ニッケル鋼を溶接する異材継手溶接、 および鋼へのオーバーレイ溶接などに使用されます。
INT-112AC の溶着金属は耐食性も高く、様々な腐食環境に適用できますが、 特にピッテイングや狭窄部における耐食効果に優れています。
化学成分 [%]
C | 0.10以下 |
---|---|
Mn | 1.0以下 |
Fe | 7.0以下 |
P | 0.03以下 |
S | 0.02以下 |
Si | 0.75以下 |
Cu | 0.50以下 |
Ni | 55.0以上 |
Co | * 0.12以下 |
Cr | 20.0-23.0 |
Nb+Ta | 3.15-4.15 |
Mo | 8.0-10.0 |
Others | 0.50以下 |
*コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
機械的性質 (As Welded)
耐力 | - |
---|---|
引張強さ | 760 N/mm2以上 |
伸び | 30 %以上 |
溶接姿勢
F | V | H | OH |
製造寸法 & 適正電流 [AC,DC(+)]
2.6mm x 300mmL | AC, DC(+) | 40-60 amp. |
---|---|---|
3.2mm x 350mmL | AC, DC(+) | 60-100 amp. |
4.0mm x 350mmL | AC, DC(+) | 80-140 amp. |
5.0mm x 350mmL | AC, DC(+) | 130-180 amp. |
* 直流を採用する場合は、溶接棒をプラス側に接続してください。
用途
宇宙航空関係の化学系統や海洋構造物、環境装置、および原子力関係などに適する。
NC-276
ニッケル・クロム・モリブデン合金
ハステロイC-276被覆アーク溶接棒
規格 : AWS A5.11 ENiCrMo-4 UNS No.W80276
NC-276は低炭素・高クロム及びモリブデンを含むニッケル合金で、孔食・応力腐食だけでなく、酸化性及び還元性の両方の媒体にも優れた耐食性を示します。
従来ステンレス鋼では考えられなかった塩化第二鉄や塩化第二銅のような強酸化剤の混入した高温の媒体、例えば塩酸、ギ酸、酢酸、塩水及び海水などの耐食材料として使用されます。
化学成分 [%]
Ni | Rem. |
---|---|
Cr | 14.5-16.5 |
Mo | 15.0-17.0 |
C | 0.02以下 |
Mn | 1.0以下 |
Si | 0.20以下 |
Fe | 4.7-7.0 |
P | 0.04以下 |
S | 0.03以下 |
Cu | 0.5以下 |
Co | 2.5以下 |
V | 0.35以下 |
W | 3.0-4.5 |
Others | 0.50以下 |
機械的性質 (As welded)
引張強さ | 690 N/mm2以上 |
---|---|
伸び | 25 %以上 |
製造寸法並びに適正電流[DC+]
製造寸法 | 適正電流 [amp.] |
---|---|
2.4mm x 300mmL | 50-80 DC(+) |
3.2mm x 350mmL | 60-100 DC(+) |
4.0mm x 350mmL | 80-140 DC(+) |
用途
排煙脱硫装置のスクラバーや湿塩素ガス・次亜塩素酸・二酸化塩素などが使用される製紙 プラントやその他広範囲の化学工業プロセスに使用され、優れた耐食性が評価される。
注 ) ハステロイはHAYNES INTERNATINAL社の登録商標です。
NC-22
ニッケル・クロム・モリブデン合金
ハステロイC-22被覆アーク溶接棒
規格 : AWS A5.11 ENiCrMo-10 UNS No.W86022
NC-22 はNC-276 を改良したもので、NC-276 と同じ仕様で用いて優れた延性、耐食性を示します。
特に酸化性の水溶液( 酸化性酸を含む酸、湿塩素ガス、硝酸ガスが混合した媒体、Cl-イオンを含む酸化性酸等 )では、これまでに開発された材料中、最高の耐食性を示します。
そのほか極めて高い耐孔食性、耐スキマ腐食性、耐応力腐食ワレ性を有することも特徴です。
また、溶接したままで溶接金属や母材熱影響部( HAZ )の耐食性が確保できるため、溶体化処理を省略することができます。
NC-22は、厳しい腐食環境で耐食性が要求されるプラントや、バイオリアクター、および排煙脱硫装置などの環境装置に使用されております。
溶着金属中の酸素量や炭素量を抑える特殊な被覆剤を使用しているためです。
化学成分 [%]
C | 0.020以下 |
---|---|
Si | 0.2以下 |
Mn | 1.0以下 |
P | 0.030以下 |
S | 0.015以下 |
Fe | 2.0-6.0 |
Cu | 0.50以下 |
Ni | Rem. |
Cr | 20.0-22.5 |
Mo | 12.5-14.5 |
Co | 2.5以下 |
V | 0.35以下 |
W | 2.5-3.5 |
Others | 0.50以下 |
機械的性質 (As welded)
引張強さ | 690 N/mm2以上 |
---|---|
伸び | 25 %以上 |
製造寸法並びに適正電流[DC+]
製造寸法 | 適正電流 [amp.] |
---|---|
2.4mm x 300mmL | 50-80 DC(+) |
3.2mm x 350mmL | 60-100 DC(+) |
4.0mm x 350mmL | 80-140 DC(+) |
5.0mm x 350mmL | 130-180 DC(+) |
用途
HC-22材の溶接のほか、HC-22と他のニッケル・クロム・モリブデン合金や炭素鋼、ステンレス鋼との熔接に使用。
注 ) ハステロイはHAYNES INTERNATINAL社の登録商標です。
HT-1
規格 : JIS Z3251 DCoCrC
HT-1は心線にビシライトNo.1を使用しています。
溶着金属はステライト中で最高の硬さを持ち優れた耐摩耗性を持っていますが、 その反面、衝撃にやや弱い傾向があり、衝撃の激しいところには使用できません。
被覆はライム・チタニアで、スパッターが少なく、スラグの剥離、ビード外観などは極めて良好です。
◎溶接上の注意点
1. 400℃以上の予熱をしますと、溶接ワレに対して効果的です。
2. 溶接後は炉中または硅藻土中で徐冷してください。
3. できるだけ低目の電流で溶接して、母材への溶け込みを少なくしてください。
高電流の使用は母材への溶け込みを増し、溶着金属の性能が劣化する原因となります。
化学成分 [%]
C | 1.75-3.00 |
---|---|
Mn | 2.0以下 |
Si | 2.0以下 |
P | 0.03以下 |
S | 0.03以下 |
Ni | 3.0以下 |
Cr | 25.0-33.0 |
Mo | 1.0以下 |
W | 11.0-14.00 |
Fe | 5.0以下 |
Co | Rem. |
Others | 0.5以下 |
硬度
As welded | 520-570 Hv |
---|
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 約300mmL | AC, DC(+) | 70-100 amp. |
---|---|---|
4.8mm x 約300mmL | AC, DC(+) | 140-190 amp. |
用途
センターレスグラインダーのブレードまたはワークレスト、内燃機関のバルブヘッドまたはカム、高圧ポンプのシールリング逆上弁、 土建機械の刃先摩耗部、スクリュー、コンベアーの摩耗部等の肉盛溶接。
HT-3
規格 : JIS Z3251 DCoCrB
HT-3は心線にビシライトNo.12を使用しています。
溶着金属は、ステライト中では中位の硬さを持ち HT-1より耐摩耗性は落ちますが、靱性が増しますので溶接性に優れワレに対しても安全です。
被覆はライム・チタニアで、スパッターが少なく、スラグの剥離、ビード外観などは極めて良好です。
◎溶接上の注意点
1. 350℃以上の予熱をしますと、溶接ワレに対して効果的です。
2. 溶接後は炉中または硅藻土中で徐冷してください。
3. できるだけ低目の電流で溶接して、母材への溶け込みを少なくしてください。高電流の使用は母材への溶け込みを増し、溶着金属の性能が劣化する原因となります。
化学成分 [%]
C | 1.00-1.70 |
---|---|
Mn | 2.0以下 |
Si | 2.0以下 |
P | 0.03以下 |
S | 0.03以下 |
Ni | 3.0以下 |
Cr | 25.0-32.0 |
Mo | 1.0以下 |
W | 7.0-9.50 |
Fe | 5.0以下 |
Co | Rem. |
Others | 0.5以下 |
硬度
As welded | 430-480 Hv |
---|
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 約350mmL | AC, DC(+) | 70-100 amp. |
---|---|---|
4.8mm x 約350mmL | AC, DC(+) | 130-180 amp. |
用途
高圧ポンプの軸スリーブ、ランナースリーブ、化学繊維工業のカッター刃先、プレス金型。
HT-6
規格 : JIS Z3251 DCoCrA
HT-6は心線にビシライトNo.6を使用しています。
溶着金属は、ステライト中で最も靱性が高く、熱間冷間の衝撃に耐え、ワレの心配も少なく広い面積にも安心して溶着できます。
被覆はライム・チタニアで、スパッターが少なく、アークの安定、スラグの剥離、ビード外観などは極めて良好です。
◎溶接上の注意点
1. 350℃以上の予熱をしますと、溶接ワレに対して効果的です。
2. 溶接後は炉中または硅藻土中で徐冷してください。
3. できるだけ低目の電流で溶接して、母材への溶け込みを少なくしてください。
高電流の使用は母材への溶け込みを増し、溶着金属の性能が劣化する原因となります。
化学成分 [%]
C | 0.70-1.40 |
---|---|
Mn | 2.0以下 |
Si | 2.0以下 |
P | 0.03以下 |
S | 0.03以下 |
Ni | 3.0以下 |
Cr | 25.0-32.0 |
Mo | 1.0以下 |
W | 3.0-6.0 |
Fe | 5.0以下 |
Co | Rem. |
Others | 0.5以下 |
硬度
As Welded | 360-410 Hv |
---|
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 約350mmL | AC, DC(+) | 70-100 amp. |
---|---|---|
4.8mm x 約350mmL | AC, DC(+) | 130-180 amp. |
用途
高温高圧バルブ材、鍛造型、切断刃。
TCu-1
規格 : AWS A5.6 ECu UNS No.W60189 ・ JIS Z3231 DCu
TCu-1は、脱酸銅の心線を使用しているため、脱酸銅およびタフピッチ銅の溶接に適します。
また、比較的純度の高い溶着金属を得ることができるので、電気伝導が要求されるところの溶接にも使用できますし、その他鋼や鋳鉄への肉盛用としても適します。
アークは極めて安定しており、溶着金属の色は銅と同一になります。
なお、純銅の溶接には、なるべく太めの棒径の使用をお薦めします。
◎溶接上の注意点
1. アーク長は中程度に保持し、運棒角度は棒の進行方向に対して70°~80°が最適です。
2. ウィービングを行う場合には、ビード幅を棒径の3倍以内にとどめてください。
3. 各ビード毎に熱間でピーニングを行ってください。
4. 予熱温度は高い程作業しやすくなりますが、普通430~540℃が適当です。但し、母材が軟鋼の場合は不要です。
5. 通風やヒュームの吸着装置には十分注意してください。
6. 突合せ溶接の場合には、ルートギャップを十分とり開先形状は60~90℃と広くとってください。
化学成分 [%]
AWS | JIS | |
---|---|---|
Cu | Rem. | 95.0以上 |
Zn | *) | +) |
Sn | *) | - |
Mn | 0.10以下 | 3.0以下 |
Fe | 0.20以下 | - |
Si | 0.10以下 | 0.5以下 |
Ni | *) | +) |
P | *) | 0.30以下 |
Al | 0.10以下 | +) |
Pb | 0.02以下 | +) 0.02以下 |
Others | 0.50以下 | 0.50以下 |
*) コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
+) +成分が微量の場合は、分析を省略することができる。
機械的性質 (As Welded)
AWS | JIS | |
---|---|---|
耐力 | - | - |
引張強さ | 170 N/mm2以上 | 180 N/mm2以上 |
伸び | 20 %以上 | 20 %以上 |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 350mmL | AC,DC(+) | 90-140 amp. |
---|---|---|
4.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 120-180 amp. |
5.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 180-250 amp. |
TCu-2
規格 : AWS A5.6 ECuSi UNS No.W60656 ・ JIS Z3231 DCuSiB
TCu-2の溶着金属は広くエバヂュールの名で呼ばれていますが、硝酸以外の無機酸や多くの有機酸および海水に対して腐食抵抗が大きいことから、化工機あるいは船舶用部品のケイ素青銅、黄銅、砲金の溶接に適しています。
また、銅の溶接に用いても優れた作業性を示します。
◎溶接上の注意点
1. 銅、黄銅、砲金の場合には約 300℃の予熱、ケイ素青銅の場合は70~150℃の予熱をそれぞれお薦めします。
2. その他の溶接方法は TCu-1 と同じです。
化学成分 [%]
AWS | JIS | |
---|---|---|
Cu | Rem. | 92.0以上 |
Zn | *) | +) |
Sn | 1.50以下 | - |
Mn | 1.50以下 | 3.0以下 |
Fe | 0.50以下 | - |
Si | 2.4-4.0 | 2.5-4.0 |
Ni | *) | +) |
P | *) | 0.30以下 |
Al | 0.10以下 | +) |
Pb | 0.02以下 | +) 0.02以下 |
Others | 0.50以下 | 0.50以下 |
*) コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
+) +成分が微量の場合は、分析を省略することができる。
機械的性質 (As Welded)
AWS | JIS | |
---|---|---|
耐力 | - | - |
引張強さ | 350 N/mm2以上 | 270 N/mm2以上 |
伸び | 20 %以上 | 20 %以上 |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
2.0mm x 250mmL | AC,DC(+) | 35-60 amp. |
---|---|---|
2.6mm x 300mmL | AC,DC(+) | 50-90 amp. |
3.2mm x 350mmL | AC,DC(+) | 90-130 amp. |
4.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 100-160 amp. |
5.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 160-230 amp. |
TCu-3
規格 : AWS A5.6 ECuSn-A UNS No.W60518 ・ JIS Z3231 DCuSnA
TCu-3の溶着金属は、銅に 5~7%の錫と約 0.3%のリンが添加され、湯流がよく作業性に優れているのが特徴です。
靱性が大きく、海水、鉱水および硫酸等に対しての腐食抵抗が大きいことから、化工機および船舶用部品のリン青銅、砲金、黄銅、純銅の溶接に適しています。
◎溶接上の注意点
1. 銅、黄銅、砲金の場合には約 300℃の予熱、リン青銅の場合には200℃の予熱をお薦めします。
2. その他の溶接方法は TCu-1 と同じです。
化学成分 [%]
AWS | JIS | |
---|---|---|
Cu | Rem. | Rem. |
Zn | *) | +) |
Sn | 4.0-6.0 | 5.0-7.0 |
Mn | *) | +) |
Fe | 0.25以下 | +) |
Si | *) | +) |
Ni | *) | +) |
P | 0.05-0.35 | 0.30以下 |
Al | 0.10以下 | +) |
Pb | 0.02以下 | +) 0.02以下 |
Others | 0.50以下 | 0.50以下 |
*) コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
+) +成分が微量の場合は、分析を省略することができる。
機械的性質 (As Welded)
AWS | JIS | |
---|---|---|
耐力 | - | - |
引張強さ | 240 N/mm2以上 | 250 N/mm2以上 |
伸び | 20 %以上 | 15 %以上 |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
2.6mm x 300mmL | AC,DC(+) | 50-90 amp. |
---|---|---|
3.2mm x 350mmL | AC,DC(+) | 90-130 amp. |
4.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 100-160 amp. |
5.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 160-230 amp. |
TCu-5
規格 : AWS A5.6 ECuAl-A2 UNS No.W60614 ・ JIS Z3231 DCuAl
TCu-5の溶着金属は、Al 7~10%を含むアルミニウム青銅で、硝酸以外の無機酸や多くの有機酸、および海水に対し強い耐食性を持っています。
その上、機械的性質は強靱で耐摩耗性も良好ですので、各種化学容器、機械、パルプ、復水器管などの溶接や、船舶用推進部の補修などに用いられます。
溶接性においても良好ですが、これは溶着金属が熱間脆性や粗大結晶組織を生ずる傾向がないことから、熱間の延性と強さにおいて銅合金の中で最も優れたものとなっています。
銅合金、軟鋼、鋳鉄、マンガン鋼などにおいて、同種金属間および異種金属間の接合が可能です。
◎溶接上の注意点
1. 銅合金の場合は約 300℃の予熱をお薦めします。鉄合金の場合には予熱は必要ありません。
2. その他の溶接方法は TCu-1 と同じです。
化学成分 [%]
AWS | JIS | |
---|---|---|
Cu | Rem. | Rem. |
Zn | *) | +) |
Sn | *) | - |
Mn | *) | 2.0以下 |
Fe | 0.50-5.0 | 1.5以下 |
Si | 1.5以下 | 1.0以下 |
Ni | *) | 0.5以下 |
P | - | - |
Al | 6.5-9.0 | 7.0-10.0 |
Pb | 0.02以下 | +) 0.02以下 |
Others | 0.50以下 | 0.50以下 |
*)コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
+) +成分が微量の場合は、分析を省略することができる。
機械的性質 (As Welded)
AWS | JIS | |
---|---|---|
耐力 | - | - |
引張強さ | 410 N/mm2以上 | 390 N/mm2以上 |
伸び | 20 %以上 | 15 %以上 |
HB | - | 100 HB以上 |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
4.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 100-160 amp. |
---|---|---|
5.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 160-230 amp. |
TCu-4
規格 : AWS A5.6 ECuSn-C UNS No.W60521 ・ JIS Z3231 DCuSnB
TCu-4は TCu-3 と同じ目的に使用されますが、特に錫の量が多くなっており、耐摩耗および強度を必要とするところの肉盛および接合に適しています。
◎溶接上の注意点
1. 銅、黄銅、砲金の場合には約 300℃の予熱、リン青銅の場合には200℃の予熱をお薦めします。
2. その他の溶接方法は TCu-1 と同じです。
化学成分 [%]
AWS | JIS | |
---|---|---|
Cu | Rem. | Rem. |
Zn | *) | +) |
Sn | 7.0-9.0 | 7.0-9.0 |
Mn | *) | +) |
Fe | 0.25以下 | +) |
Si | *) | +) |
Ni | *) | +) |
P | 0.05-0.35 | 0.30以下 |
Al | 0.10以下 | +) |
Pb | 0.02以下 | +) 0.02以下 |
Others | 0.50以下 | 0.50以下 |
*) コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
+) +成分が微量の場合は、分析を省略することができる。
機械的性質 (As Welded)
AWS | JIS | |
---|---|---|
耐力 | - | - |
引張強さ | 280 N/mm2以上 | 270 N/mm2以上 |
伸び | 20 %以上 | 12 %以上 |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
2.6mm x 300mmL | AC,DC(+) | 50-90 amp. |
---|---|---|
3.2mm x 350mmL | AC,DC(+) | 90-130 amp. |
4.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 100-160 amp. |
5.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 160-230 amp. |
TCu-6
規格 : AWS A5.6 ECuNiAl UNS No.W60632 ・ JIS Z3231 DCuAlNi
TCu-6は、TCu-5の溶着金属に更に鉄とニッケルを添加して極めて靱性の大きい溶着金属が得られます。
組織は極めて緻密なα+β相を示し、優れた耐食性と溶接性を備えています。
このためカタサも高く圧力機器の部品、タービン、バルブなどの肉盛、船舶用推進器の補修などにも使用されます。
適正予熱およびパス間温度 [℃]
1. 鉄基では : 90-100
2. 青銅では : 150-200
3. 黄銅(真鍮)では : 250-320
化学成分 [%]
AWS | JIS | |
---|---|---|
Cu | Rem. | Rem. |
Zn | *) | +) |
Sn | *) | - |
Mn | 0.50-3.5 | 2.0以下 |
Fe | 3.0-6.0 | 2.0-6.0 |
Si | 1.5以下 | 1.0以下 |
Ni | 4.0-6.0 | 2.0以下 |
P | - | - |
Al | 6.0-8.5 | 7.0-10.0 |
Pb | 0.02以下 | +) 0.02以下 |
Others | 0.50以下 | 0.50以下 |
*) コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
+) +成分が微量の場合は、分析を省略することができる。
機械的性質 (As Welded)
AWS | JIS | |
---|---|---|
耐力 | - | - |
引張強さ | 500 N/mm2以上 | 490 N/mm2以上 |
伸び | 10 %以上 | 13 %以上 |
HB | 160-200 HB以上 | 120 HB以上 |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 350mmL | AC,DC(+) | 90-130 amp. |
---|---|---|
4.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 100-160 amp. |
5.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 160-230 amp. |
TCu-7
規格 : AWS A5.6 ECuNi UNS No.W60715 ・ JIS Z3231 DCuNi-3
TCu-7は、Ni が10%~30%までのニッケル青銅の母材の溶接に用いられます。
溶着金属は特に海水に対する耐食性に優れているほか、溶接のままでも強い靱性を示すという特性があります。
しかし、その一方で高温脆性がありますので、予熱はさけ層間温度は70℃以下に抑えてください。
◎溶接上の注意点
1. できるだけ低電流で溶接してください。
2. 熱入量の多い溶接方法を用いますと、溶着金属および母材熱影響部が脆化する傾向があります。
3. 多層盛の場合も、層間温度をできるだけ低めに抑える必要があります。
化学成分 [%]
AWS | JIS | |
---|---|---|
Cu | Rem. | Rem. |
Zn | *) | +) |
Sn | *) | - |
Mn | 1.00-2.50 | 2.5以下 |
Fe | 0.40-0.75 | 2.5以下 |
Si | 0.50以下 | 0.5以下 |
Ni | 29.0-33.0 | 29.00-33.0 |
P | 0.020以下 | 0.020以下 |
Al | - | Ti) 0.5以下 |
Pb | 0.02以下 | +) 0.02以下 |
Ti | 0.50以下 | → Al ) |
S | 0.015以下 | 0.015以下 |
Others | 0.50以下 | 0.50以下 |
*) コバルト値が規定された場合は、0.12%以下とする。
+) +成分が微量の場合は、分析を省略することができる。
機械的性質 (As Welded)
AWS | JIS | |
---|---|---|
耐力 | - | - |
引張強さ | 350 N/mm2以上 | 350 N/mm2以上 |
伸び | 20 %以上 | 20 %以上 |
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 350mmL | AC,DC(+) | 60-100 amp. |
---|---|---|
4.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 80-140 amp. |
5.0mm x 400mmL | AC,DC(+) | 130-180 amp. |
RT-7
規格 : JIS Z3211 E4313
RT-7は、立向下進溶接が容易に出来るように製作されたもので、薄被覆のためスラグの巻込みもなく、美しい仕上げビードが得られます。
化学成分 [%]
Cu | 0.05-0.10 |
---|---|
Mn | 0.30-0.50 |
Si | 0.20-0.40 |
P | 0.025以下 |
S | 0.020以下 |
Cu | 0.15以下 |
機械的性質 (As Welded)
降伏点 | 345 MPa以上 |
---|---|
引張強さ | 420 MPa以上 |
伸び | 17%以上 |
衝撃値 (0℃,2V Notch) | - |
溶接姿勢
F | V | H | OH |
製造寸法並びに適正電流 [AC,DC(-)]
製造寸法 | 適正電流 [amp.] | ||
---|---|---|---|
径 [mmΦ] | 長さ [mmL] | 下向 | 立向・上向 |
2.0 | 250 | 30-65 | 30-65 |
2.6 | 300 | 45-95 | 45-95 |
3.2 | 350 | 60-130 | 60-130 |
4.0 | 400 | 100-180 | 100-150 |
用途
船舶、鉄道車両、自動車などの薄板構造物の溶接。特に立向下進溶接に適する。
HT-21
規格 : JIS Z3251 DCoCrD
HT-21は心線にビシライトNo.21を使用しています。
溶着金属は、HT-6よりも靱性が高く、熱間冷間の衝撃に耐え、ワレの心配も少なく広い面積にも安心して溶着できます。
被覆はライム・チタニアで、スパッターが少なく、アークの安定、スラグの剥離、ビード外観などは極めて良好です。
◎溶接上の注意点
1. 350℃以上の予熱をしますと、溶接ワレに対して効果的です。
2. 溶接後は炉中または硅藻土中で徐冷してください。
3. できるだけ低目の電流で溶接して、母材への溶け込みを少なくしてください。
高電流の使用は母材への溶け込みを増し、溶着金属の性能が劣化する原因となります。
化学成分 [%]
C | 0.35以下 |
---|---|
Mn | 1.0以下 |
Si | 1.0以下 |
P | 0.03以下 |
S | 0.03以下 |
Ni | 3.5以下 |
Cr | 23.0-30.0 |
Mo | 3.0-7.0 |
W | 1.0以下 |
Fe | 5.0以下 |
Co | Rem. |
Others | 0.5以下 |
硬度
As welded | 20-32HRC |
---|
溶接姿勢
F |
製造寸法並びに適正電流
3.2mm x 約350mmL | AC, DC(+) | 70-100 amp. |
---|---|---|
4.8mm x 約350mmL | AC, DC(+) | 130-180 amp. |
用途
高温高圧バルブ材、鍛造型、切断刃。